レンガ調の外観が印象的な「焼きたてパン工房サラブレッド」。手づくりにこだわり、バターが香るサクサク食感のクロワッサンに、ふわもち食パン、人気のカレーパンや塩パンなど、100種類ほどのパンが並び、いつも多くの人でにぎわう、浜松の人気パン屋のひとつ。同店で正社員として働く牧田さんに、働きはじめたきっかけ、パン屋の仕事の魅力をお聞きしました。
未経験ながら、6ヶ月の研修期間をへて正社員へ
——サラブレッドで働きはじめたきっかけを教えてください。
前職では、1トン車を運転し、食品や日用品などをお客さまの家まで届ける仕事をしていました。昔からお菓子作りが好きで、手づくりのクッキーなどを友だちにプレゼントしていたこともあり、これを仕事にしたいなと思うように。そんなタイミングで、サラブレッド有玉店のパート募集を見つけました。未経験でも構わないとあり、チャレンジするつもりで応募しました。
——パン作りは未経験とのことですが、不安はありませんでしたか?
パン職人ってムスッとしていて怖いという、私の勝手なイメージがあったのですが、働いてみたら、もちろんそんなことはなくて(笑)。パン作りの仕事は初めてでしたが、先輩の皆さんが、分かるまで丁寧に教えてくださったので、思っていたよりもスムーズにできたことに驚きました。とは言え、先輩のようにうまくできないことも多いので、練習の毎日です。
——正社員になるまで、どのようなステップを踏むのですか?
最初はレジ打ちといった販売の仕事をしながらパンの種類を覚えていき、その後、パンの成形を担当するようになりました。私の場合は3ヶ月ほどパートをして準社員になり、さらに3ヶ月の試用期間をへて、正社員になりました。現在は主に製造担当として、クロワッサンやフランスパン、食パンなど、10種類ほどのパン生地を仕込んだり、さまざまなパンの成形、製造を行ったりしています。
——正社員として働きはじめ、変化はありましたか?
パートと比べると働く時間が増えました。シフトによって違いますが、朝の4時に出勤し、昼の14時に退勤することが多いです。仕事内容は、総菜パンや菓子パンなどの成形、忙しいときはレジをサポートすることもあります。さらに、仕込みや翌日の準備など、幅広い業務に携わるようになり、より責任のある仕事を任されるようになったのは大きな変化と言えます。
できることが増えるたび、パン作りに魅せられていく
——パン屋の仕事のやりがい、楽しさを教えてください。
やはり、パンを買われたお客さまが笑顔になって帰られる姿を見るとうれしく思います。ときどきお客さまからパンのリクエストをいただくことがあります。例えば、秋が近いから栗を使ったパンが欲しいとか、フランスパンにドライフルーツとクリームチーズをサンドしたものとか。そういった声を製造部に伝えることで商品化につながり、店頭に並んだときは、この仕事をしていてよかったなと思います。また、パン作りに関するさまざまな技術を学べるのが楽しく、やりがいにつながっています。
——働きはじめて1年ほどがたちますが、今の心境を教えてください。
パン作りの奥深さを感じています。例えば、パン生地をこねる際は水温がとても大事で、温度がちょっと違うだけで、パンの固さが微妙に違ってくるんです。厨房には温湿度計があり、その日の天候によって1度単位で水温を調整します。季節の変わり目は特に難しく、店長に相談しながら、よいパン生地を作れるよう日々気を使っています。また、パン作りだけでなく、段取りや道具の使い方、片付けなど、先輩たちの動きはとても勉強になります。
——パン屋で働くにあたり、牧田さんが考える必要なスキルとは何でしょうか?
パンを作るスキルに関しては、先輩方が分かりやすく教えてくださるので、未経験でも問題はありません。大切なのは、パン作りを学びたいという積極的な姿勢や、こだわりだと思います。パンはその日の天候によって仕上がりが変わる繊細な食べものです。サラブレッドには、お子さまから年配の方まで、たくさんの客さまがパンを楽しみに来店されています。その方たちに喜んでいただけるパンを作っているんだという気持ち、どうしたらお客さまに喜んでいただけるか考えることが何より大事です。
——今後の夢を教えてください。
いつかキッチンカーに乗って、できたてのお菓子やパンをお客さまに届ける仕事ができたらいいなと考えています。そのためにも、まずはパン作りをしっかり習得し、お客さまに喜んでいただける、おいしいと言っていただけるパンを作りたいと思います。