未経験ながらパン作りに取り組み、半年で正社員に
ーーサラブレッドで働きはじめた理由を教えてください。
ずっとパンが好きで、パン作りに興味がありました。パン屋のアルバイトを探していたとき、サラブレッド有玉店のアルバイト募集を知り、応募。最初は、販売の仕事から始まり、パンの種類や形などを覚えたら、パンの成形担当になりました。
ーー製菓学校で学んだなど、パン作りの経験はあったのでしょうか?
いえ、未経験でしたが、先輩に教えてもらいながらパン作りの基礎を学んでいきました。最初は、パンの生地を伸ばしたり、あんこなどの具材を生地で包んだりといった仕事を担当しました。生地を伸ばすことは比較的早く習得できたのですが、コルネの生地のように、細長く均等に伸ばすのが難しく、先輩に教えてもらいながら少しずつできるようになり、何とか習得することができました。
ーー実際に働きはじめて感じたことはありますか?
パン作りはスピードが命なので、思っていたよりも忙しいということですね(笑)。生地を50gずつに分割する仕事があるのですが、次の生地が来るまでに手早く終えないと、生地の発酵が進んでしまいます。また、オープンにあわせてパンを並べる必要もありますし、開店後もパンの欠品が出ないように気を配っています。
ーーどれくらいの期間で担当を任されるのでしょうか?
人によって違うかと思いますが、僕の場合は2カ月ほどで、成形をひとりで担当するようになりました。最初は不安でしたが、分からないことは周りのスタッフがサポートしてくれたのも心強かったです。半年ほどすると、原島店が新規オープンすることになり、「正社員として働かないか」と声をかけていただきました。とてもうれしかったですし、新しい店で働けることにワクワクしました。
商品開発にも挑戦し、働く楽しさを実感
ーー正社員になり、原島店に移って変化はありましたか?
有玉店では「教えられる側」でしたが、原島店では「教える側」になったことが、一番の変化ですね。教えるのは得意ではないのですが(笑)、どうやったら相手に分かりやすく伝わるか、いつも考えながら指導しています。
ーーこの仕事の楽しさ、やりがいを教えてください。
自分の手がけたパンが店頭に並び、お客さまが「おいしそう」と言って買っている姿を見ると、うれしさと、やりがいを感じます。原島店では、季節ごとに新しいパンを販売しています。僕が提案し採用されたのが「春色あんぱん」。イチゴの生地にあんこを詰め、桜の形に成形し、マシュマロを3つ乗せたパンで、お客さまからも好評でした。また、新商品だけでなく、既存のパンをよりおいしく改良することも、大切な仕事のひとつです。「ハムマヨコーン」はもともと丸型のパンだったのですが、もっと食べごたえを感じてもらえるように、生地の端を残して切り開く形に改良し、当店でも人気のパンのひとつになりました。
ーー2年ほど勤務されていますが、ご自身が成長を感じるのはどのようなところでしょうか?
コンビニエンスストアやスーパーなどでパンを見ると、どうやって作っているのだろうと観察するようになりました(笑)。あと、パン作りはスピードが大事なので、効率よく仕事をするためには、何をすればいいか考えながら仕事をするようになったのは、成長といえるかもしれません。また、サラブレッドには月に1度ほど、パン作りを指導する先生にお越しいただき、意外と難しいフランスパンの成形や、新商品のパンに対してアドバイスをくれるので、とても勉強になっています。
ひとつのチームになって、みんなでお店を盛り上げる
ーーパン屋さんで働くにあたって、必要なスキルはありますか?
僕も未経験から始めたので、パンが好きであれば、技術はお店に入ってからでも学ぶことができます。むしろ大切なのは、チームワークです。パン作りの仕事は、「生地の仕込み」「成形」「窯(かま)」「販売」の流れがスムーズに行われることが重要です。お互いの仕事をフォローしながら、切磋琢磨できる人が、パン屋の仕事に向いていますし、このお店で成長できると思います。
ーー今後の夢や展望を教えてください。
シーズンごとに発売する新商品開発には、積極的に参加していきたいです。ただ言われたとおりにパンを作るのではなく、アイデアを考え、みんなにアドバイスをもらいながらパン作りできるのは、月のパン屋さんの魅力だと思います。既存のパンの改良も行いつつ、お客さまに「おいしい」と言ってもらえるパン作りを目指します。